……だけど。




「なぜ、鼠がここにいる」


月城組組長は口を開くと、ひどく冷たい瞳で私たちに目を向けた。


その瞳と目が合えば、体はガタガタと震え出す。
恐怖だけが心を支配していく……。




「組長!!岳さ──っ」
「黙れ、稲森」


紫乃の声は月城岳の低い声によって遮られ、私たちに向けられる拳銃。
同時に、暁も月城岳へと拳銃を向けた。


月城岳からは溢れ出す殺気。



……本当に暁が未玖ちゃんを撃ったと思ってる。
そんなことはしてないのに……っ。




「おとーさっ!!にーちゃ……っ!!」


突然、近くで固まっていた巧くんが動き出した。
暁の前までくると、ぎゅっと足元に抱きつく。