「おはよぉ」



ねっむい。



「おはようなっちゃん!いい朝ね!!」



「うん、そうだね。」



眠い目をこすりながらテーブルについて
テレビをつける。



いつもの情報番組。



最近お気に入りの女性アナウンサーが
朝から元気に放送をしている。




【今日、日本の風見地自動車と
選手契約を結んだ


レオルド・スミス選手の来日です!】



「あらー!レオちゃん今日来日なのね!」



「なにその愛称」



「可愛いでしょ?」



「他人なのにその愛称はどうかと思う。」



ん、やはりこの食パンはあたり。



「何言ってんのー!
ママはレオちゃんとメル友よ!」



メル友?



って、なんだっけ?



「あら、今はラオン友かしら?」



ラオン=無料通信SNS



さっきまで寝ていた頭が覚醒する。



「も、妄想?」



「いやーねー、ほんとよほんと」



「はいはい、
どこで知り合ったのか知らないけど
浮気はダメだよ」



「そんなんじゃないわよ!」
母の言葉を聞き流しながら食器を片付けて
2階の自分の部屋に行く。



ふぁー。眠い。



もう一眠り.....



バーン!



うるさい。。。



「なっちゃん!!
今日暇!?暇よね!!


ママとお出かけするわよ!」



は、い?



「待って、お母さん。


私そんなの聞いてないし承諾してない」



「あら、聞いてなくて当たり前よ、
だって今決めたんだもん。」



クソババア



「あら、その心の中の発言の分お仕置きされて
引きずられていくのと、


自分の足で行くのどっちがいい?」



「ご、ごめんなさい」



なぜ心が読めた!?



「よろしい


さ!行くわよー!!」



「待って待って待って!!!


私まだパジャマ!!!」



せめて着替えさせて!!



「あら、やだ、忘れてた。
てへぺろ」



可愛くない。



「もう!そんな顔しない!早く着替えて!」



「はいはい」



てか、どこに行くか分かんないのに
服装って決めれなくない?
後ろを振り向いても母はいない。



知ってた!!!



全く、



とりあえず、動きやすいジーパンに
まぁまぁお気に入りのTシャツ。



化粧も装飾品もいらない。



スポーツしに行くなら邪魔だもんね。



「お母さん、終わったよー


って、それで行くの?」



「当たり前よ!」



「まじか」



お母さんはつばの長い帽子に大きなサングラス
ワンピースに日傘をさして日焼け対策バッチリ



あれ?これは、普通に私服でよかったくね?




ま、後の祭りだ



私はお母さんに引きづられながら
車にの乗り込み出発。



「どこ行くの?」



「もちろん!風見地自動車の
ラグビー練習所!」



「は?


いやいやいやいや、海外の選手が来る日に
今から行っても見れるはずが」



「ふふーん!残念!


実は監督と繋がりあるのです!」



「....職権乱用」



「うーるーさーいー。


さ!レッツ、レオちゃん見に行くぞー!」



「おー?」
「うわぁ、すごい人。」



「ふふーん、
レオちゃんはとっても人気だからね」



「はいはい、凄いねレオちゃんは」



「えー、ほんとに覚えてないの?」



「何が?」



「んー、会ったら思い出すよ!きっと!」



「はいはい」



「あ、隅田(すみだ)さーん!」



「おぉ!陽子(ようこ)さん!」



遠くから確か風見地自動車の監督が
手を振って駆け寄ってくる



「ねぇ、お母さん」



「なーに、なっちゃん」



「陽子さんってことは、」



「もち!
この間のニュース番組で仲良くなったのよ」




「よかったね、芸能人で」



「ほんとにねー!」



「陽子さん!お待ちしていました。」



「監督。今日はお招きありがとうございます。」



「いえいえ、
陽子さんがラグビーに興味がおありなんて
驚きました。」



「ふふ、よく言われますわ


あ、こっちは娘の千夏です。」



「どうも」



「よろしくね千夏ちゃん


どうぞこちらへ、室内で待ちましょう」



「えぇ、ありがとうございます。」
あのおっさん、母さんに鼻の下伸ばしすぎだろ



見た目若いって言ったて2児の子持ちだぞ。



「なっちゃんー?
なにか失礼なこと考えてなーい?」



「別に?


お母さん。私選手の練習見てていい?」



「監督。」



「えぇ、構いませんよ。」



おっさんに頭を下げて立派なスタンドに座る。



風見地自動車のラグビーは常にトップリーグで
活躍している強豪。



練習場所もすんごいいい。



すごい。



「きゃぁぁぁあ!!!」



ん、こんな悲鳴は某探偵漫画では
殺人事件になるのだろうか?



練習していた選手たちも練習を中断して
悲鳴の場所に向かっている。



きっとこの悲鳴は、



レオルド・スミスが到着したのだろう。



「嬢ちゃん。」


っ!!



驚いた。
ニュージーランドでよく呼ばれていた呼び方。



まぁ、日本語じゃなかったけど



「何してんだい?
ここは関係者以外立ち入り禁止だよ?」
立派な体格に甘いマスク。



確か名前は、



「霧島 煌鬼(きりしま こうき)選手」



「へー!俺知られてるんだ!」



「日本代表ぐらいなら」



「ありがとう。


所で、なんでここにいるのか?」



あ、忘れてた。



「母の付き添いです。」



「母?」



「さっき来た高橋 陽子の娘です」



「へー!


あの有名な考古学者と
衰え知らずの大女優橘 陽子の娘!」



「ご丁寧にどうも」



えぇ、ほんと、私の嫌いなところを。



「てか、今日来たのはあれの為じゃないの?」



そう言って霧島選手が後ろを指す。



黄色い歓声の集団。



レオルド・スミスがいる場所。



「母がそうなだけで、私は別に」



「あれ?そうなの?
今の高校が好きそうな顔立ちなのに」



自分も随分いい顔立ちしてるじゃん。



言わないけど



「私はラグビーに興味があるだけで、
選手には別に興味ないんで」



「へー、変わってる」