「まさかねぇ。美由紀ちゃんがうちの美南と会社の同期だなんて思いもしなかったわ」
キッチンから紅茶の入ったティーカップをトレーに乗せてやってきた母は私たちの前にカップを置いた。
「ほんとご縁ですよね。あの、これお口に合えばいいんですが」
そう言いながら、美由紀はどこかの洋菓子店で買ってきただろうケーキの箱を母の前に差し出す。
「あら、そんな気を使わなくたっていいのに。でもうれしいわ、皆で頂きましょうか。美由紀ちゃん、ありがとう」
母は、見ていた私が恐縮してしまうくらいうれしそうな顔をしてその箱を受け取った。
「ごめんね、美由紀」
小声で自分の鼻の頭に手を縦にして当てた。
「いいのいいの。地元で有名なケーキ屋さんのケーキでとてもおいしいの。一緒に食べたくて買ってきただけだから」
美由紀はきれいな二重の大きな目を細めて笑った。
品のいい口紅の色。思わず微笑む彼女の口元に見とれる。
そりゃモテるよね。
それにいつも女性らしい気遣いができる人。
私には到底まねできない。
早速切り分けたおいしそうなロールケーキを持って母が登場する。
別に母も一緒に食べなくてもいいのに。こういうところ、全く気が利かない。
私が気が利かないのも母譲りなのかもしれないな。
目の前に置かれたロールケーキのケーキはこんがりきつね色。
ふわふわの生クリームがあふれんばかりに入っている。
「おいしそう!早速頂きます!」
おいしいものには目がない私は手を合わせると遠慮なくいただくことにした。
キッチンから紅茶の入ったティーカップをトレーに乗せてやってきた母は私たちの前にカップを置いた。
「ほんとご縁ですよね。あの、これお口に合えばいいんですが」
そう言いながら、美由紀はどこかの洋菓子店で買ってきただろうケーキの箱を母の前に差し出す。
「あら、そんな気を使わなくたっていいのに。でもうれしいわ、皆で頂きましょうか。美由紀ちゃん、ありがとう」
母は、見ていた私が恐縮してしまうくらいうれしそうな顔をしてその箱を受け取った。
「ごめんね、美由紀」
小声で自分の鼻の頭に手を縦にして当てた。
「いいのいいの。地元で有名なケーキ屋さんのケーキでとてもおいしいの。一緒に食べたくて買ってきただけだから」
美由紀はきれいな二重の大きな目を細めて笑った。
品のいい口紅の色。思わず微笑む彼女の口元に見とれる。
そりゃモテるよね。
それにいつも女性らしい気遣いができる人。
私には到底まねできない。
早速切り分けたおいしそうなロールケーキを持って母が登場する。
別に母も一緒に食べなくてもいいのに。こういうところ、全く気が利かない。
私が気が利かないのも母譲りなのかもしれないな。
目の前に置かれたロールケーキのケーキはこんがりきつね色。
ふわふわの生クリームがあふれんばかりに入っている。
「おいしそう!早速頂きます!」
おいしいものには目がない私は手を合わせると遠慮なくいただくことにした。