私、矢田美南(やたみなみ)は、都心のオフィスビル群の一角にひっそりと位置する『令輪薬品株式会社』の総務課で社内全般の管理、行事の企画運営や株主総会の事務局として日々忙しくしている。

大手製薬会社から比べたら規模こそは小さいけれど、創業は昭和47年と古く、馴染みの病院からの信頼を得て売上げは軒並み安定していた。

そんな会社でMRきっての美女である同期の神田美由紀(かんだみゆき)から突然の合コンのお誘い。

MRだけあって、医者との交流は深く、美由紀が開催する合コンのお相手は大抵医者か病院関係の人間が多かった。

だからそれほど必死に募らなくてもすぐに女子の人数は確保できる。

私も何度か声がかかり、以前は参加もしていたけれど、なんというか……お医者さまって私にはどうも肌が合わないというか、うまく会話が運ばないというか。

そのうち合コン自体億劫になって、美由紀主催の合コンにも足が遠のいていたのに、よりによって、仲介役の美由紀が突然の体調不良で欠席になりそのピンチヒッターとして私が呼ばれたのだ。

もっと私なんかよりあか抜けたかわいい女子はたくさんいるというのに、どうしてか美由紀は私じゃなきゃダメだと言ってきかなかった。

いつもお世話になってる美由紀の頼みということもあり、渋々引き受け参加した時に来ていたのが、今官能的に私を抱く彼、竹部大(たけべだい)、30歳だ。