「そっか、美味しいんだね。気に入ってくれて良かった」


何も言っていないのに、津田は嬉しそうにそう言った。


「なんでそうなるのよ!」

「無言は肯定と取るのが一般的でしょ?」

「そんなの聞いたことない」

「新しいことが知れて良かったね」


何だかバカにされているような気がして、ムスッと不機嫌面になった夏歩を、津田は可笑しそうに笑って見つめる。


「そうだ。牛乳買ってきたからさ、食後のココアは楽しみにしてて」


ココアと聞いた瞬間、危うく表情が緩みそうになって、夏歩は慌てて力をこめる。


「……ココアで簡単につれると思ったら大間違いだから」


ひとまず、そんな風に思っていそうな津田を睨みつけると


「そんなつもりはなかったけど。ただ、なっちゃんが喜んでくれたらいいなーと思っただけで」


当の津田は、夏歩の鋭い視線を笑顔で受け止めて答えた。