「……またいるし」
「おかえりー、なっちゃん」
玄関のドアを開けた時、そこに男物の靴が置いてあるのを見た時点で嫌な予感はしていた。
「何なの、一体」
「そんなとこに立ってないで、中に入ったら?」
「なんで津田くんが仕切る」
部屋の入口に立ち尽くしていた夏歩は、津田を軽く睨んでから中に入ってドアを閉める。
本当は今すぐ津田をこのアパートから追い出してやりたいところなのだが、鍵を取り戻してからでなければ、それをしてもすぐまた中に入られてしまうので意味がない。
なので、津田を追い出すのは後回しにするとして、ひとまず夏歩は何をしているのかと津田に尋ねる。
津田は現在、キッチンに立っている。そしてつい先ほど、水を入れたヤカンを火にかけていた。
「何って、おもてなしの準備?とりあえず、沸くまで時間あるから、その間に着替えたらいいよ」
「だから、なんで津田くんが仕切る!」