連れて行かれたのはビックリするような外観と、それとは反対に落ち着く内装をしたお店で、高校時代の後輩だった裕也がいて、友人の美織がいて、驚きの連続の中で味わった料理は、大変美味しかった。
外食だけじゃなくて、オムライスも、カレーライスも、トマトのスープスパゲティも、豆腐ハンバーグも、そぼろ弁当も、ロールキャベツの入ったシチューも、鍋も、毎日の朝ご飯やお弁当も、どれも美味しかった。
そこまで思い出すつもりなんてなかったのに、思い出してしまいながらカップラーメンを啜る。
不味くはないが、好きかどうかは人による。夏歩はそんなに、好きではない味。
それでも、お腹を満たす為だけにカップラーメンを啜り、スープは残して箸を置く。
空いた手は自然とベッドに伸びた。本日何度目になるかわからない、スマートフォンの確認作業。
ここまでくれば、もう今日中の連絡はないだろうと頭ではわかっているのに、ついつい手が伸びてしまう。懲りずに何度も確認してしまう。
これでもまだ、気になっていない、心配なんてしていないと主張するのは、もう流石に無理がある。夏歩だって、わかっている。
でも、だからって、どうしろと言うのか。どうすればいいのか。