ご飯はあるので、それにまた津田が作り置きしたおかずを載せて、インスタントの味噌汁を添えるのでもよかったが、しばし考えた末、夏歩は残っていたご飯をラップにくるんで冷凍して、ヤカンでお湯を沸かした。
開けたのは冷蔵庫ではなくレンジ台の下、津田が買い込んだ乾麺やスパゲティソースを避けて奥から取り出したのはカップラーメン。
ラインナップは以前見た時と同じ、激辛ワンタン、シーフードチーズ、トマト焼きそばの三つ。
どれも気分ではない中、夏歩は悩みに悩んでシーフードチーズを残し、後の二つをレンジ台の下に戻した。
お湯が沸くまで待つ間、ベッドに向かってスマートフォンを手に取り、津田からのメッセージの有無を確認する。
普段なら面倒くさくて、メッセージの確認のためだけにキッチンとベッドの往復なんてしないのだけれど、今日は自然と足が動いていた。
沸いたお湯をカップラーメンに注ぎながら、以前カップラーメンを食べようとした時には、津田の提案で外食したのだったなと思い出す。
渋りながらも津田が出したワンピースに着替え、これはデートだと煩い津田と賑やかな通りを歩いた。
高校時代を思い出しながらファストフード店を眺め、異様に距離が近い津田に文句を言いながら裏道を歩いた。