「何かって、津田くんに限ってそんな……」


津田がいない、連絡もない、その時夏歩ももちろん 、何かあったのだろうか……とは思った。
思ってそわそわしたけれど、津田に限ってそんな……と根拠もなにもない考えで、それを無理やりに打ち消した。

それが再び、美織の言葉で蘇る。打ち消したはずの不安が、そうっと忍び寄って夏歩の心に入り込む。


「人生何が起こるかわからないって言うでしょ。この世に、いつまでも続く当たり前なんて存在しないのよ」

「……いい言葉ではあるけど、でも」


“でも”と言ったはいいものの、その後が続かない。

しばらく考えたけれど結局何も浮かばなかったので、夏歩は続けるのを諦めておにぎりを口に入れた。


「今まで毎日のように通ってきて、来られない日だって連絡は欠かさないって夏歩言ってたじゃない。それが、連絡もなしに姿を見せないなんて、普通はここで、何かあったのかなって思うでしょ」


そんな夏歩に、美織が言う。

思うだけでいいなら、夏歩だって思った。思った後に行動を起こさず、むしろその考えを打ち消しただけで。