美織の言葉に、飲み込んだおにぎりがうぐっと詰まって、夏歩は慌ててペットボトルに手を伸ばす。
その反応を、美織は図星と受け取ったようで、呆れたようにため息をついた。
「夏歩はほんと、津田に対してはとことん素直じゃないわね」
「それは、……別に、津田くんだけ特別とかじゃないし……」
あー、はいはい。と軽くあしらわれ、夏歩は不満げに美織を見る。
「もうわかったから、いい加減にしなさい。って、前にも言わなかったっけ?」
「……素直になれとは言われたけど、いい加減にしろとは言われてない」
「似たようなものでしょ」
まあ、似たようなものだと言われれば似たようなものだ。ちょっと言い方が違うだけで、込められた意味は同じなのだから。
でも夏歩としては、自分は美織が言うほど捻くれているとは思っていないので、不満げな顔は直らない。
「こんな時くらい、素直に連絡しなさいよ。何かあったんだったらどうするの」
その言葉に、朝一で夏歩の心を支配したそわそわがふと蘇る。