『それでは、生徒会企画

 "部活動対抗障害物リレー"を開始致します。

 正式な競技ではないので、

 様々な意味で際どい障害物も複数存在します。

 最後まで気を抜かず、楽しんでくださいませ。』


美しいしなやかな笑みを浮かべてから軽く頭を下げたレオ先パイ。




『んじゃ いっくよ〜ん!

 3 ・ 2 ・ 1 、スタートぉ!』


マサ先パイがスタートの合図をし、第一走者が駆け出した。


…歩いてる人も何人かいるけど。



まぁ順位を競う目的の競技ではないもんね。


楽しめればOKのはず。


走者が次々と障害物をクリアしていく。




凛ちゃんは最初の内はトップ集団の中にいたけど、紙とペンが設置されてる障害物で止まってしまった。



「お?止まった?」


「みたいですね。」


「交代するか聞いてくるわ。」


ユート先パイがトラックの内側を移動して凛ちゃんの元へ行く。



少しだけ会話した2人は、ハイタッチして入れ替わった。


走者はいつでも交代できて、交代するときはわかりやすい高さでハイタッチするのが決まりらしい。



凛ちゃんに代わってペンを持ったユート先パイはすらすらと何かを書いてすぐにその障害物をクリアした。




「さっきの何だったの?」



凛ちゃんが私のとこまで来てくれたから、気になっていた障害物の内容を聞いてみた。



「なんか数学の問題だった…。

 体育祭なのに…。」


しゅんとしている凛ちゃん。



イチバンイチバンうるさかったから、ちょっとありがたいかも。


なんて失礼なことを思いながらユート先パイを目で追う。


まるで障害物なんて存在しないかのようなスピードで軽々と進んでいくユート先パイ。




これなら私出なくて済むかな…?


なんて思った時だった。



ユート先パイがピタッと止まって、こちらを向いた。



「トワ!交代!」


なんで!?


ユート先パイより前を走る人達を見るに、次の障害物はなわとびだと思われる。



ユート先パイができないとは思えないのに…!



渋々ユート先パイの元へ行き、手を上げる。




「すまんな。

 レオにここで代われって言われてんだよ。」


ハイタッチしながらそう言うユート先パイ。



わざわざ交代するタイミングまで指示してるなんて…。


レオ先パイ暇なのかな…。