盛り上がる応援合戦から午後の競技が始まった。


午後はカレンちゃんの高跳びの応援をしたくらいで、私自身は全員強制参加の競技以外何にもしてない。



予定時間より30分以上も早く、閉会式以外のすべてのプログラムが終わってしまった。



「凛がイッチバン!!」


「5組、すごかったもんねー。」


閉会式は時間通りにやるらしく、今はフリータイムになっている。


私は気づいたら凛ちゃんとおしゃべりをしていた。




「およ?レオが壇上に上がってる??」



凛ちゃんが指を指した方向を見ると、体操服すらも爽やかに着こなすレオ先パイがマイクを手にしていた。


他の生徒達も気づいたようで、より騒がしくなっていく。



『体育祭、お疲れ様でした。』


聞き取りやすい、男の人にしては少し高めの声。


レオ先パイの言葉によって、騒がしくなっていたグラウンドが静かになる。



『でも、体育祭が終わるには早いと思いませんか?』


にやり、という効果音が最適な笑みを浮かべるレオ先パイ。



『さっすがレオ会長!わかってるぅ〜♪』


どこにいるのか見えないけど、多分別のマイクを使ってマサ先パイがレオ先パイを煽る。




…と、一旦静かになった生徒達は一気に叫び始めた。



「まだなんかやるの!?

 凛がイチバン!!」


隣の凛ちゃんも再び闘争心に火がついてしまった模様。



みんなの雄叫びのせいで耳が痛い…。


私はつい耳をふさいでしまった。



『では、先程先生方からの承認をもらった

 出来立てほやほやの生徒会企画の説明を致します。

 再度静かにして頂けますか?』


美しすぎる作られた笑顔によって、周りの雄叫びがなくなった。


私はほっとして耳から手を外す。



『生徒会企画は部活動対抗と致します。

 そして………。』


簡潔に説明をしていくレオ先パイ。


どうやら緊急の生徒会企画は部活動対抗で、やりたい人のみ参加する形式で、体育祭自体の勝敗には関わらないみたい。


それもそうだよね。


急にやる競技で順位変動なんかしちゃったらすっきり終われないもん。




『競技ですが、障害物リレーと致します。

 突然の企画ですから凝ったことはできませんが、

 校内の物資を駆使して盛り上がるよう

 最大限考慮しましたので、

 どうぞ最後まで楽しんでくださいませ。

 …5分後に競技を開始致します。

 マイクを使用したい者は運営ブースにいる

 生徒会副会長の眞秋にお声掛けください。

 …では、一旦解散。』


レオ先パイの解散宣言によって、各部活動のメンバーが集まり始めた。



秋学は全員部活動に所属することが必須となっている。


生徒会に入る人はそれが免除されるから、私は入ってないんだけどね。



生徒会に入ってる人で部活動もやってるのはリヒト先パイくらい。


PC部としてプログラミングとか私には全く理解できない複雑なことをやっているらしい。




「とわ!凛達も行こう!」


「うん!」


凛ちゃんに引っ張られながら運営ブースの生徒会用席の所に行く。