「とわー!こっちこっちー!」
「うん!」
凛ちゃんに呼ばれる方へ駆け出す。
体育祭は順調に進み、お昼休憩となった。
お昼ごはんは学食でも教室でもどこで食べてもいいの。
私は凛ちゃん達と一緒にグラウンドの隅の日陰で食べる約束をしてたんだ。
「兎羽、お疲れ様。惜しかったね〜。」
「ママ…。本当に見てたんだね…。」
レジャーシートの上でにこにこしてるママ。
凛ちゃんママはお弁当箱を広げていて、凛ちゃんはいただきますもまだなのにつまみ食いを始めている。
「おひはっはっへひゃんひゃ?」
「凛!食べながら喋らない!
何回言えばわかるの!もう高校2年生よ!?」
なんかこの光景も見慣れちゃってなんとも思わないな…。
「ふぃー。惜しかったって何ー?」
口に入ってる物を食べ終わった凛ちゃんが今度こそ話し始める。
「兎羽、100m走で2位だったのよ。
あとちょっとだったのにねぇ。」
「そーなの?凛は出たやつ全部いっちばん!!」
超ドヤ顔の凛ちゃん。
そりゃ運動神経めちゃくちゃいいもんね…。
普通は1人2競技くらいなのに、凛ちゃんは5競技も出るらしい。
「ほら、兎羽も食べなさい?」
「はーい。いただきます。」
ママに促されるままお昼ごはんに手を伸ばす。
ピックが刺さってたりかわいいラップに包まれてたりして手掴みで食べられるように工夫されてるお弁当の中身。
ママと凛ちゃんママが協力して作ってきてくれたらしい。
もくもくとお昼ごはんを食べていると。
~~~~~♪♪♪
最近流行ってる曲がどこからか流れる。
「みゃ?凛だ。」
凛ちゃんがウエストポーチからスマホを取り出す。
さっきの音楽は着信音だったみたい。
レジャーシートから出て少し離れた凛ちゃんをスルーしてそのままごはんを食べ続ける。
「体育祭とかイベント事はいっつも忙しそうね。
もう少しその熱を勉強の方に持ってってもらえると助かるんだけど…。」
「まぁまぁ。
秋学に入れたんだし凛ちゃんも自分のペースで頑張っているのよ、きっと。」
ママ達が話しているけど、私は入れそうにないなぁ。