「ありがとー。でもね、今宵は全然俺に振り向いてくれないんだよね」

チラ。
その視線がすごく痛い。


「あはは! 今宵チャン最高! その調子で駆になんか流されちゃだめだよ」


「……モチぃ?」


駆くんが細めた目でモチさんを上から睨む。


その俺様のすぎる睨み方にどきどきしてるのは、ここにいる女子三人みんな、同じなんじゃないかな。


「……協力しろよ?」


テーブルの向こう側に伸びた駆くんの手は、モチさんの柔らかそうな色白の肌をむにっとつまんで引いた。


「いはい~(痛い)!」


「相変わらず弾力のあるいいほっぺしてんなぁ」


もう片手も伸ばし、もちもちと両頬の感触を楽しむ駆くん。


見てるこっちがはずかしくなりそうなくらい真っ赤な顔をしたモチさん。


あたしは呆然と見ている。
その様子を確認するみたいに駆くんがちらりとこっちを見た。


だけどすぐに視線は戻って。

あたしに残るのはこのモヤモヤした気持ち。


……駆くんってこういうこと、誰にでもするんだ。