「彼氏じゃないんだぁ。そっか、でも今宵だもんねぇ〜!」


まろやんはいじるような目をして続ける。


「今宵もついに恋したかと思ったのにぃ」


「ま、まろやん……しぃ」



焦るあたしの隣から、ものすごい鋭さをもつ視線が……


「じゃあもしかして、今宵のこと……好きだったりして!?」


そんなキラキラ目を輝かせて、駆くんに聞かないで……!



駆くんの視線があたしからまろやんにうつると、唇は綺麗に弧を描いていく。


ごくっと唾を飲み込んだ。


ぜったい、怒ってる。なんていうんだろう……。


「うん。俺はね? 今宵のこと好きなんだけどね」


一文字一文字が強くて、とげを持っているみたい。


あたしは後悔の中、地面に視線を落とす。