「今宵!聞いてんの!?」


まろやんの声が聞こえてハッとした。


「え!?あ、ごめん……」


「もぉ、久しぶりの再会だっていうのに! っで、彼氏なの!?」


まろやんのはっきりとした声に、ドキリと心臓が動く。


「え。いや、えっと」



まろやんは恋バナが大好きで、きっと付き合った経緯まで聞かれるんだと思う。


そんなことになったら、なんて言えばいいんだろう。


流されてしまって……いつの間にか好きになった、だなんて。


そんな恋の仕方、きっとびっくりされちゃうし、もしかしたら引かれちゃうかもしれない。


……言えない。


隣をちらりと盗み見ると、駆くんはモチさんとの談笑に夢中みたい。


「そういうのじゃないよ」


あたしのごく小さな声が、まさか駆くんに届くとは思わなかったの。


まるで会話しながらもあたしに注意をむけていたみたいに。


「へぇ、」


空気をふくんだ駆くんの声は、たった一文字半で怒りを感じさせるもので……。