そう言って笑う困り顔は、毒気が抜けたみたいに……。


そうだ。さっき見た、コルクボードの写真みたいな爽やかな顔。


あたしはもう一度壁に張られたコルクボードに目を向けた。


純粋な目。屈託のない笑顔。

そういう写真がびっしりと貼られている。


――不自然に欠けた一部分をのぞいて。


「行こ?今宵」


差し出された手をそっと掴んだ。


「うん」