「大輔」





秋の訪れを告げるかのように、散っていく若緑色の葉。



取り残されたように、残りの命を燃やして鳴く蝉。



「久しぶり。」





…最愛の彼女が、久々に僕の前に顔を出したのは、そんな季節だった。



「元気に、してた…?」



そう言って、彼女はいつも僕が飲んでいるお気に入りの飲み物を、僕の前に置いてくれた。



ぶどうのみずみずしそうな絵が書かれているそれは、1年前と、何ら変わりはなかった。



「大輔はさぁー、これしか飲まないよね〜」



呆れたように呟く君。



君が、美味しいって言ったから。そこから、好きになったんだよ。




君との、思い出だから。