「なに、ニヤついてるんだよ。変態」
懐かしさに浸っているとククッと喉を鳴らして笑う彼に引き戻された。
間近で見る顔に思わず胸が高まる。
が、私は彼を睨みつけた。
「変態ってなによ。人がせっかく幸せを噛み締めてたっていうのに」
「幸せならもっと幸せらしい顔しろよ」
「フン。別にどんな顔でもいいじゃん。幸せは幸せなんだからさ」
「そーだな。どんな顔してても俺はナツが好きだから」
だから今のも俺には効かない、と意地悪く口角をあげて私の頬をつまんだ。
……っまったく、ほんと、適わない。
きっと茹でダコ以上になってるであろう今の私は彼の手をペシっと払い除けてみせ、つままれた部分を撫でる。
熱かった。
思ってた以上に。
よく晴れた太陽の下でこんな意地悪するなんてアンタは鬼か!
彼氏のせいで熱中症とかそんな恥ずかしい理由で倒れたりしたなんて死んでも御免だ。
未だ私を熱くさせてくる彼は、涼しげに楽しそうに笑ってる。
悔しいけど、そんな彼が私は大好きなんだ。