私は膝の上でギュッと拳を握りしめた。
しんにぃ…かいにぃ………!
以前パパに、私達は立場上、誰かに命を狙われる可能性だって否定できないんだ、と言っていたことを思い出す。
それは私も誘拐された時に、身をもって感じた。
神山家の人間であること、そして、警察との関わりが深いこと。
私達は、一歩外に出れば、そこら中に危険が溢れているんだ。
今回は交通事故だから、故意に狙われたわけではないけれど、いつこういうことが起きてもおかしくない、ということの証明みたいなものだ。
「奥さま、病院に到着致しました。」
山吹さんの言葉にハッと周りを見渡す。
この病院…
私が誘拐された時にお世話になった病院だ。
そして、神山家の人間が代々お世話になっているのも、この大学病院だと聞いている。