放課後。


「パンツかっわいー」


背後から聞こえた声に慌てて立ち上がると、


「……嘘」


ニヤリとして颯が笑った。

廊下で落し物をしてしまい、探すのに夢中になって四つん這いになったことを後悔する。


「……」


……まあ、中にちゃんと短パンを履いているから、万が一でも見えるはずがないんだけど。


「探してるの、これ?」


颯は私にお化け屋敷で使う小さなペンライトを差し出した。

思わずあっ、と驚いた表情でそれを受け取ると


「向こうに落ちてたよ」


爽やかに笑いかけてくる颯に、私は素っ気なく、


「……どうも」


それじゃ、と立ち上がり、彼を振り切るようにその場から立ち去る。

学校で話しかけられるなんて、今まで一度もなかったのに。

今朝、うっかり言葉を交わしてしまったせいで、調子に乗っているに違いない。

…もう二度と話しかけられる隙なんて与えるものか。

内心で固く誓っている私の後ろを、颯はなぜかついてきた。