「てかなんで、ずっと喧嘩腰なわけ?
普通にしろよ」
「颯が非常識なことばっかりするからでしょ!」
はっきりと言い返すと、颯は、まあ、たしかにと言って笑った。
「でも俺は久しぶりに、お前と、前みたいに仲良くしたいのに」
その時、すれ違った女子たちが颯に視線を浴びせていることに気づいた。
颯も気づいて、ぺこりと頭を下げてあげると、女子たちは歓声を上げた。
「あ、あの、園川くん。
ミスターコンずっと前から応援してます!」
「頑張ってください!」
「あ、はい。
ありがとうございます」
颯は全く動揺せず、さも慣れきったことのように平然と答えた。
私からみても、100パーセント完璧な営業スマイルだ。
颯のフェロモンかなにかを真正面から受けて、夢見心地のようだった彼女たちは、満足そうに去っていく。