食事が終わると先程までいた部屋に翡翠と戻った。

縁側で庭を眺めながらくつろいでいると、鴇君が翡翠にお酒、そして

私にお茶を持ってきてくれた。

「鴇君、ありがとう。」

「いえ、ゆっくりしてくださいね。」


翡翠は御銚子からガラスのお猪口にお酒を注ぎ口に運び、私もお茶を

飲むと冷たいお茶がスッと体に染みわたるようだった。

「そういえば、気になっていたんだけど・・・。」

「なんだ。」

「私、翡翠の名前は勝手につけて呼んでいたんだけど、本当の名前も

 同じ翡翠だったの?」

「あぁ、不思議だよな。俺も瑠璃に初めて名前を呼ばれた時、なんで

 こいつは初めて会った俺の名前を知ってるんだと思った。」

「私は、翡翠の瞳を見てとっても綺麗だと思って“翡翠”ってつけたの」

「あ~、確か俺の親もそんな事を言ってたような気がするな。」

「フフフ、考えることは人間も妖狐も同じなんだね」

「そうみたいだな。」

そんな話をしながら夜は更けていったのだった。