「瑠璃、お願いだ、こっちを見て・・・。」

そう言いながら、私の顎に手を添え上を向かせる

「俺は、初めて会った時から瑠璃の事を綺麗だと思っていたよ。

 そして、離れたくないとも・・・」

そんな風に言われたら、まるで翡翠が私を好きなのかと勘違い

してしまいそうになる。

“こんなに素敵な翡翠が私を好きになるわけないのに”

そんな心の葛藤をしていると、後ろの襖の外から声が掛かった。

「翡翠様、夕餉(ユウゲ)の支度が整いました。」

「あぁ、分かった。お前達を瑠璃に紹介したいから一緒に食べよう」

「はい、お待ちしております。」

「瑠璃、夕餉を食べに行こう。ついでに、この屋敷の者も紹介するよ」

「うん。」

屋敷の人って事は、妖ってことだよね・・・

どんな人達なのか緊張しながら翡翠の後に続いて部屋を出た。