「体は大体大丈夫だと思う。風呂にでも入ってさっぱりしてきたら

 良いんじゃないか?それから、また話そう。」

そう言って右手を差し出すので、その手を掴み立ち上がった。

「風呂まで案内するよ」

翡翠に手を引かれながら、自分の周りに目をやる。

ここは、純和風の家のようだ。

今まで自分が横になっていたのは和室で縁側から庭が見渡せた。

和室の襖を開けると長い廊下が広がっていた。

いくつもの襖を横に見ながら真直ぐ進み、突き当りを右に曲がった先

に風呂場の引き戸があった。

「ここを開けると風呂場だから、瑠璃が風呂に入っている間に着替え

 を用意させるけど、浴衣は着れるかな?」

「あ、うん、浴衣なら大丈夫。ありがとう。」

「あぁ、気にしないで、じゃあ、ゆっくりするといいよ。

 風呂から上がったら、さっきの部屋まできて、いいね。」

「うん。」