「逃げるなら、あそこからね…。」

床に落ちている縄を見つめる。さっきまで少女の体の自由を奪っていた縄。

「使えるものはこれだけか。」

窓は簡単な造りで鍵もかかっていない。窓を割ればバレて追手がつくから割るわけにはいかない。
縄の先を特殊な結び方で柱に結ぶ。グッと縄を引くと結び目がしっかりとする。軽く縄を引き、強度を確かめると、遠心力を利用して一気に壁を駆け上る。そのまま窓の縁に手をかけ、そのまま開けて外に出る。
すると、地上に出た。

「あの部屋…地下だったんだ。」

あの女の言うとおり、私には戦う力はない。でも、誘拐されたときに逃げられるだけの技はある。