「……おし、完成。
廉ー。早く来いって、すわってないで」
「あ、やっと終わった」
ヨウさんに呼ばれて、廉くんはアイスティーを飲み干すと、ゆったり伸びをして立ち上がった。
そのまま歩いてくる姿が、鏡ごしにわたしにも見える。
なぜか妙にドキドキしてる自分がいた。
・
「見よ、俺の神業」
ヨウさんが言うだけなことはあった。
と、自分でも思ってしまうほど。
鏡の中の自分は、まるで別人だった。
適当に伸ばしただけだった髪は、レイヤーを入れられて、するりと内巻きに収まっていた。
長すぎた前髪も、眉の高さくらいまで短くなって、自然に斜めに流されている。
我ながら随分とましに、なんなら少し可愛くなったかもしれない。
すごく、変わった……、2人のおかげで。
……たぶん、そうおもう。のに。
・