「よし!栞菜ちゃん、やろう!

俺が絶対可愛くしてみせるし」



廉くんとの話し合いを終えたヨウさんが、自信ありげにわたしの肩を叩いた。


その明るいノリに、思わずびくっとして首をすくめると、鏡ごしに廉くんがくすりと笑った。



「……いじわる」



そうつぶやくと、



「じゃ、いじわるな先生は退散するから」



廉くんはまさにいじわるな目つきで入口のテラス席に消えていく。


えっ、廉くん……


わたしは途端に焦ってしまう。


それはもう捨てられた子犬のような必死さで。


こんなところで、
ひとりにしないでえ……!!



背中越しでヨウさんがちゃきり、とはさみの音を立てた。