なんとオーナーさんは廉くんのいとこさんらしく、廉くんもここの常連さんみたいだ。
「かなり長いね、前髪もすごい」
どこか楽しげなヨウさん……彼のいとこっていうのも納得のイケメンが、わたしの髪を慣れた感じで整えながら尋ねた。
「どんな感じにする?
カワイイ?
キレイ?
モテ?」
「……ええぇ」
どれもこれもわたしにはハイレベルすぎる単語だ。
だって、わたし、わらしなのに……?
椅子に座ってもたついていると、後ろに立っていた廉くんがわたしのおでこを指で弾いた。
「おどおどすんな、栞菜」
鏡ごしに目があって、わたしは肩をすくめる。
「んじゃとりあえず、清潔感ある感じにしてよ。
この子みたいなさ」
廉くんはヨウさんが手にしていた雑誌のページに写っている女の子を指差した。
ああでもないこうでもない、と後ろで繰り広げられる会話に不安になるけど、もうどうにでもなれという気持ちになってくる。