ぽこん、とメッセージアプリにメッセージが届いたことを知らせる通知音が鳴った。
直ぐに三門さんとのトーク画面を開く。長い祝詞の最後に、「お雛さまたちに聞こえる声で」と書かれていた。私は立ち上がってドアに手を当てる。
思い出せ、三門さんの声。赤ちゃんに子守唄を聞かせるような、優しくて暖かい声。包み込んで守るような。
すっと息を吸った。
「────此れ神床に坐ます 掛けまくも畏き天照大御神 産土大神等の大前を拝み奉りて 恐み恐みも白さく 大神等の廣き厚き御恵みを 辱み奉り……」
詩子を守ってくれた神さまへの感謝。そして、もう一度助けを乞うのだ。
助けて下さい。その力をお貸しください。どうかもう一度、詩子を守って。