三門さんはまっすぐと私のもとまで進んできて隣に腰を下ろす。


 「お仕事、終わりですか?」

 「うん、今日は祈祷もないし他も大方片付いた。それに、みんなこっちの宴会に来てるから、社頭にはほとんどだれもいないんだ」


 肩を竦めた三門さんに、私はふふと笑みをこぼした。


 「そうだ、ちゃんと面と向かって言ってなかったね。合格おめでとう、春からは高校生だ」

 「あ、ありがとうございます。これから、よろしくお願いします」


 姿勢を正して頭を下げると、掌がぽんと乗せられた。


 祖父が亡くなった去年の冬に突然不思議な力が宿り、そこへ届いた三門さんからの手紙だけを頼りにこの社へやってきた私は、自分の力やこの神社、妖の存在を知った。
 妖たちと関わり、自分の力を知っていくことで、最初は恐れていたこの力に対する気持ちにも変化が生まれた。なんども自分自身と向き合って真剣に考え、結果、隣町の高校に通いながら三門さんから力について学ぶことにしたのだ。