社に戻ってきた私たちは直ぐに解散することになった。まだいろいろと話したいことはあったけれど、自分たちが思うよりも体は疲れていた。

 それもそうだ。向こうではたった数時間過ごした気分だったが、こちらでは二日も時間が過ぎていたのだから。


 詳しい話は明日、と言われて私も自室に押し込められる。


 直ぐに横になったが、幽世へ行った興奮からかすっかり目がさえてしまい、布団からぬけだして縁側に出た。

 夕陽は少し前に沈んで、裏の社が開いたらしい。社頭の賑やかな声に耳を澄ましながら幽世でのことを思いだす。


 仁吉さんとの別れ際、私の腕を強く引っ張り耳元でささやかれたあの一言がずっと頭の中から離れなかった。


 もし、あの言葉が本当なのだとしたら、ふくりだけが仁吉さんを嫌っていることや、三門さんが私たちを仁吉さんのもとへ向かわせたことことに違和感がのこる。

 ただ一つ、確信したことがある。三門さんはやっぱり、私に何かを隠しているんだ。






 ────うちな、結守の神主、殺したことあるねん。