三門さんはとても険しい顔をして口を開く。
「ほんとうに、こっちの高校で良かったの?」
思わず苦笑いを浮かべた。
こちらの高校に進学したいということを電話で伝えてから、何度か詳しく話し合ったが、三門さんは何度もその質問を繰り返した。
進学すること自体には反対しているようなことは言われなかったけれど、もしかしたら本当は反対していたんじゃないかと少し不安に思っている。
「三門さん……」
「ああ、ごめん。ちょっと僕が心配性なだけなんだ。麻ちゃんがそう決めたんなら、応援するよ」
苦笑いで頬を掻いた三門さんはそう言って立ち上がる。
「それじゃあ、受験まであとちょっとだし、頑張ってね。でも無理はしないこと。その食器は流し台に置いといて、洗わなくてもいいからね」
そしてもう一度「がんばってね」と握りこぶしを作って微笑むと、お盆を持って部屋から出て行った。