「とりあえず、気をつけて帰ってね。みくりや妖たちがうるさいから、早めに来てくれると助かるよ」


 肩を竦めた三門さんに、笑って頷いた。

 電車がゆっくりと動き出す。慌てて窓を閉めて、遠ざかって行くふたりに手を振った。


 やがて二人の姿が見えなくなって、私は座席に腰を下ろす。

 丁度そのタイミングで、メッセージアプリの通知音が鳴った。見ると、先ほど別れたばかりの詩子からメッセージが届いている。


 『言い忘れ! この前は本当にありがとう。新学期からもよろしくね!』


 可愛らしいきつねのスタンプも続けて送られてた。

 思わず笑みが零れる。返事を打ち込みながら、詩子と出会った日のことを思い出した────。