翌日の昼過ぎ、今回は少ない荷物で私は電車に乗っていた。
 他に乗客もなく、まだ動き出す気配もなかったので、窓を開けて身を乗り出す。見送りに来てくれた詩子は、身を乗りだす私に手を伸ばした。


 「制服合わせまでにはこっちに来る?」

 「うん。荷物は少しずつ送ることになっているし、すぐに戻ってくるよ」

 「じゃあ一緒に行こうね、また連絡するから!」


 ぱっと笑顔になった詩子は小さく手を振って場所をずれる。三門さんが窓のそばまで歩み寄ってきた。心なしか、どこか表情が暗い。


 「三門さん……?」

 「麻ちゃん、最後にもう一度だけ聞くね」


 突然そう切り出した三門さんに目を瞬かせる。


 「本当にこっちの高校を選んでよかったの?」


 その質問か、と苦笑いを浮かべた。

 冬休みが明けてこちらの高校に進学したいという意思を三門さんに伝えたときから、もう何十回も聞かれている質問だった。