それからどれくらい経っただろう。
実際数分しか経ってないだろうけど、私にはとても長く感じた。




「……ごめんね。わーわー泣いちゃって」

「ごめんより、ありがとうのが良い」


「……ありがとう」


『よく言えました』、なんて言いながら頭をポンポンして、やっと体を離してもらった。





沈黙が流れる。


「ところで、どうしてここにいるの?」

その沈黙が重くて、私から質問した。



「俺、よくここに来るんだよ」

「へぇ〜」


「それにしても、あんなに泣くとは」
笑ってやがる。

「も、もう忘れてっ!」

恥ずかしくて死にそうだ。
穴があったら入りたいってのはこのことを言うんだ。


「忘れてあげない。今日から委員長じゃなくて、泣き虫って呼んであげる」

「泣き虫…!やだ!絶対やだ!」

「もう決定事項だよ」



(泣き虫なんて、絶対やだ!!)

さっきまであんなに優しかったのに、苦手なアイツに戻って、また私をからかい始める。


目に涙を溜めてヤツを見る。



ヤツは楽しいのか、笑いながら私の頬を両手で挟んできた。

「ほっと!はなひてほ!」

「何言ってるかわかりませーん」