「はい」
千晃は返事を返しながら、自分の頬が赤くなっていることを感じていた。
こんな感覚ははじめてだ。

今まで25年生きてきて一度も出れることのできなかった世界からいとも簡単に匡祐は千晃を連れ出した。

こんなに簡単なことだったの?


違う。匡祐だからできる。
匡祐とだったからできたのだと千晃は思った。

エレベーターが地下につくと匡祐はポケットから車のキーを出した。
「計画的犯行」
そう言ってカギを見せる。
車に乗り込むとき、匡祐が助手席のドアを開けてくれた。
「どうぞ」
その瞬間繋がれていた手が離れたことに千晃は残念な気持ちを覚えた。