「お元気でしたか?」
匡祐の言葉に千晃が微笑む。
「はい。福山さんは?」
「元気です。先日まで海外での仕事が忙しくて、国内にはいなかったんです。海外でもかなりマスコミに追われました。千晃さんは大丈夫ですか?」
「はい。慣れていますから。」
千晃は愛想笑いを浮かべながら会議室の中央に向かった。
たくさんの机といすの並ぶ部屋。

匡祐は窓際の席に助川と一緒に座っている。
その正面に千晃は座った。

匡祐との間には2列分の机が並んでいる。

その距離が千晃にはやけに遠く感じた。

「遠すぎませんか?」
と千晃の言葉が聞こえたかのように匡祐が立ち上がり千晃の横に座る。
「このほうが話しやすいですね」
匡祐が急に近くへ来て千晃は匡祐の方を見られなかった。