匡祐と千晃は手をつないだまま千晃の父の部屋から出た。
扉が閉まると千晃の膝がガクンと力を失い折れる。
「おっと」
匡祐が慌てて千晃を支えた。
「足、痛むか?」
まだ、千晃の足は治りたてで完全ではない。けがは治っていてもこんなに長い時間たっていたのははじめてだ。
匡祐が千晃の足を確かめようとすると千晃は匡祐の首に抱き着いた。
「どうした?そんなに痛む?」
心配する匡祐に千晃は首を横に振る。
「大好き。」
千晃は小さな声でささやいた。

匡祐は千晃の体を抱きしめる。


二人にとってこれは始まりだった。