匡祐のまとめていた計画書は細かく神崎財閥の所有している企業の製品や、現在の経営状況、自社で賄いきれず外部からの資材等の調達をしている状況や、貿易ルートなど細かく記載されていた。
そのひとつひとつの問題点や改善点に福山がどのように関与できるかも記載されている。

「神崎のことはよくわかった。しかし福山の情報は?」
神崎の情報だけでは、福山財閥の後継者である匡祐に神崎の弱点を握られているだけになってしまう。千晃の父は福山側の情報も欲しがることは匡祐も予測していた。

「ただでは渡せません」
匡祐は不敵な笑みを浮かべながら千晃の父を見た。
自分にはそんなことはできないと千晃は息を飲む。

千晃の父は書類をめくる手を止めて匡祐を見た。

「何が目的だ?」

「神崎と福山が具体的に今後どのような動きを共有し、お互いの財閥をフォローし合うかは両財閥の内部でも騒がれていることです。」