「今ある両財閥の企業の経営合体は考えていません。ただ、友好条約を結びたい。」
匡祐の表情は財閥の後継者としての堂々とした表情だった。


匡祐は今ある両財閥の企業存続のために、必要であれば技術協力や、資材等の所有しているものの共有を持ち出した。その具体案の書類も完璧に用意されている。

その書類の束は辞書並みの分厚さがある。

「いつ用意した?」
千晃の父もその書類に秘書と共に目を通しながら驚いていた。

「千晃さんとの婚約の話が出てすぐに桐生財閥の動きは把握していました。その時から極秘で調査したものです。」
千晃もこの計画には初めは驚いていた。

今までの常識を覆すような内容だった。

それでも自身の財閥を守るために賢い判断をするはずと祈るような気持ちで父を見ていた。