数日後。
千晃と匡祐は千晃の父の待つホテルの部屋へ向かっていた。

二人の薬指にはおそろいの結婚指輪。

不安そうな千晃の手を匡祐が握る。
「大丈夫」
何度もそう繰り返しながら匡祐は千晃を見る。

千晃は匡祐を見て、今まで自分が立ち向かえなかった父と、しっかり向き合おうと覚悟を決めていた。


部屋のチャイムを鳴らすと父の秘書が出てきた。
「どうぞ」
「失礼します。」
父は、千晃だけが来ると思っていた。
匡祐も一緒に入室したことにピクリと眉を上げた。
「突然お邪魔して申し訳ございません。」
匡祐が頭を下げる。