「千晃、俺は自分のために千晃と一緒に、千晃のお父さんと向き合うんだよ。戦うためじゃない。これから一緒に生きていくためには乗り越えないとならないと思うんだ。」
「・・・でも」
千晃が目を潤ませながら匡祐を見る。
そんなことを言ってくれる人は今まで誰もいなかった。
自分のために一緒に考えて、恐怖や困難に向き合おうとしてくれる人の存在は誰一人いなかった・・・。

「千晃。」
匡祐が千晃を見ながらその手を強く握る。
「大丈夫。俺を信じてほしい。」
匡祐の言葉に千晃は隣で聞いていた剣持を見た。
剣持は千晃に心強く頷く。

剣持に後押しされて千晃は首を縦に振った。

「そう来なくちゃな」
匡祐は優しく微笑んだ。