朝陽を見てから千晃は匡祐の部屋に向かった。
そこにはすでに助川や剣持がいた。医師も待機している。
朝早かったため、匡祐の会社の社員もまだ出勤してはいなかった。

匡祐に抱き上げられてエレベーターで部屋に来た千晃の姿に剣持は一目散に駆け寄り千晃を抱きしめた。

まるで娘を抱きしめるかのように強く強く抱きしめてから「何してるんですか!こんなに心配かけて!」と懐かしい語調で千晃を叱った。
千晃は剣持からの久しぶりの注意になつかしさがあふれて思わず笑った。

ふと体が離れると剣持も助川も髪を振り乱し、着ているスーツがしわくちゃなことに千晃は気が付いた。

自分を抱きあげている匡祐の靴も泥だらけだ。

千晃は匡祐の首に手をまわして顔を隠した。
その涙を見られないようにしながら「ごめんなさい・・・ありがとう・・・」と三人にお礼を言う。