「はい」
千晃が頷くと匡祐の母は再び窓の方へ視線を移した。

母のぬくもりに初めて触れられたような気がした千晃はしばらく匡祐の母を見つめていた。


病院からの帰り道、匡祐はほとんど話をしなかった。
千晃もあえて話をしない。

二人を沈黙が包んでも、心地よい時間が二人の間には流れていた。






「どうぞ」
匡祐の言葉で千晃は匡祐の部屋に足を踏み入れた。