二人は離れていた時間を埋めるかのように話をしながら食事をした。
匡祐は千晃の皿にどんどんと食べ物を入れる。
「少しは太らないと」
その言葉に千晃は頬をぱんぱんに膨らませながら、匡祐の皿にも食べ物を取り分けた。
口をもごもごと動かしながら匡祐も同じというように匡祐を見つめる。

「力の食欲が戻らないんだ。何とか毎日病院に通って食事させないと、飲まず食わずのままいるから心配で。本当はずっと一緒にいられたらいいんだけどな。」
「お母さんの体調は?」
「母もよくない。心臓は今のところ小康状態だけど、認知症が進行していて、俺のことも分からず意識が混濁している日もあるんだ。」
千晃は離れていた1カ月の間の匡祐の苦労を知り心が痛んだ。
それでも、この前の匡祐と父の話を聞いていると仕事も今まで以上にやっているのだとわかる。
「体、大切にしてください。匡祐さんも。」
その言葉に匡祐は千晃を見る。
「それは千晃も同じだ。ちゃんと食事とって、眠って、倒れたら元も子もない。」
匡祐の言葉に千晃は少しうつむいて話始めた。