「力さんの体調は、いかがですか?」
千晃は席を立つ前に匡祐を見た。
「おかげさまで退院したんだ。今日もこれから顔出してくるよ。」
「そうですか。よろしくお伝えください。」
「ありがとう」
千晃はそういうと席を立ち、匡祐に頭を下げた。
匡祐が店を出る千晃に小さく手を振ると、千晃は耳まで真っ赤にしながら手を振った。






千晃は会社へ向かう車の中で父からの電話を受けた。
「はい。千晃です。」
『言い忘れたが、剣持は会社の業績が少しでも下がったり、これ以上お前が勝手な行動をとったら解雇する』
「そんな。剣持さんは私の」
そこまで言いかけたところで一方的に父は電話を切った。
千晃は運転する剣持の背中を見つめた。