「いただきます」
匡祐と千晃はホテルの近くにある蕎麦屋で食事をしていた。
「好きな食べ物は?」
匡祐の質問に千晃が迷わずに答える。
「チョコケーキです」
「ははっ」
「子供っぽい?」
千晃の表情に微笑みながら匡祐が首を横に振った。
「そんなことない。」
千晃が自分に見せる無邪気な表情に匡祐の心が洗われていくようだった。
「匡祐さん、甘いものは?」
「うーん好んでは食べないかな。コーヒーもブラック。」
「私はミルクたっぷりでお砂糖は少しが好きです。」
「そっか。特技は?」
「ふふっ。」
突然笑いだす千晃に匡祐が不思議そうな顔をする。
「お見合いみたい」
「だな」
二人は緊張から解放されて、つかの間の休息の時間を過ごしていた。