「お腹、いっぱいになった?」
少しして匡祐の言葉に、千晃が首を横に振った。
「だよな。」
匡祐はやっと肩の力を抜いて微笑んだ。
「ごめんな、俺の父が空気余計に悪くすること言って」
「それはうちも同じです。」
お互いの父の言葉を思い出して二人は小さくため息をついた。

千晃は匡祐の抱える闇や、だからこその夢をもう一度考えていた。

千晃には匡祐の気持ちが痛いほどにわかる。だからこそ、匡祐がその願いをかなえたら、自由にしてあげたい。

できれば自分も自由になりたい。


でも、自分がついていくことで匡祐が背負ってしまうものの大きさを知っているからこそ、愛しているのなら、自分が離れる選択しか、自分には許されないと思った。