「恥ずかしかったんだよ、けどほんとは嬉しくて、わざわざテストの結果を見せたりしてた」


「あ、あれはおばあさまに見せに来てるのかと思ってた」


当時の彼の照れたような表情が浮かんで来て、なんだか心が暖かくなる。


そして、そんな彼のことが愛おしいと思う。


「つむぎに会ってる時だけ、新海家の跡取りだってことを忘れていられた。
つむぎは俺のことを1人の男として見てくれてた。
だから、一緒にいたら安らげた」


イオくんがあの頃どんな気持ちでいたかってことを伝えてもらえて嬉しかった。


「留学を終えて再開してからは、避けられて寂しかったけどつむぎはすっかり綺麗になってて、正直なところなんて話しかけたらいいかわからないくらい。
顔を見ればキツいことを言って余計に避けられて、ほんとに最悪だった」


苦笑いした彼を見て、そんなすれ違いが遠い昔のことのように感じた。


「イオくん」